その間、藤崎グループ本社では会議が行われていた。
岡崎謙が最初に風蘭国でのテロ攻撃のニュースを発見し、すぐに会議室のドアをノックした。
「藤崎社長、風蘭国映画祭の会場付近で...テロ事件が発生しました。」
藤崎雪哉の表情は一瞬にして凍りついたように厳しくなり、テーブルの上の携帯電話を手に取って立ち上がると、外に向かいながら電話をかけ始めた。
まだ終わっていない会議をどうするか、指示することさえ忘れていた。
しかし、彼がかけた電話からは冷たい機械的な声だけが返ってきた。
「お客様のおかけになった電話は電源が入っておりません。」
続けて二回かけても、依然として電源が切れたままだった。
一方、藤崎千明から電話がかかってきたが、ずっと通話中だった。
そのため、藤崎千颯に電話をかけるしかなかった。
藤崎千颯は岡崎謙の報告を聞いて、まだその場に立ち尽くしたままだった。
風蘭国映画祭の会場付近、それはお義姉さんもいる場所ではないか?
そう考えていると、携帯電話に藤崎千明からの着信が表示された。
彼は電話に出ながら、兄を追いかけて外に出た。
「何だ、早く言ってくれ、忙しいんだ。」
「兄貴に電話が繋がらないんだ。お義姉さんのホテルで銃撃と爆発があって、今、彼女のマネージャーの石橋林人がまだ彼女を見つけられていないんだ...」と藤崎千明は言った。
藤崎千颯の表情は一瞬で暗くなった。「どうして見つからないんだ?」
彼女は兄の心の支えなのに、見つからないなんて命取りじゃないか?
藤崎グループの幹部たちは顔を見合わせた。風蘭国でのテロ攻撃は重大なニュースだが。
しかし、これが藤崎家とどんな関係があるのだろうか。
藤崎社長はそれを聞いた途端に表情が変わり、会議も続けず、この会議をどうするかについても一言も言わなかった。
続いて、次男が電話を受けると、彼の表情も変わった。
まるで、天が崩れ落ちるような恐ろしい状況のようだった。
藤崎千颯は藤崎千明との電話を続けながら、急いでエレベーターに乗り込み、兄の前例のない重い表情を見て言葉に詰まった。
しかし、この知らせを伝えないわけにはいかなかった。