その間、藤崎グループ本社では会議が行われていた。
岡崎謙が最初に風蘭国でのテロ攻撃のニュースを発見し、すぐに会議室のドアをノックした。
「藤崎社長、風蘭国映画祭の会場付近で...テロ事件が発生しました。」
藤崎雪哉の表情は一瞬にして凍りついたように厳しくなり、テーブルの上の携帯電話を手に取って立ち上がると、外に向かいながら電話をかけ始めた。
まだ終わっていない会議をどうするか、指示することさえ忘れていた。
しかし、彼がかけた電話からは冷たい機械的な声だけが返ってきた。
「お客様のおかけになった電話は電源が入っておりません。」
続けて二回かけても、依然として電源が切れたままだった。
一方、藤崎千明から電話がかかってきたが、ずっと通話中だった。
そのため、藤崎千颯に電話をかけるしかなかった。