第440章 結局寝るの？

「……」

藤崎千颯は二秒間呆然としてから、藤崎千明の電話を切って車に乗り込み、バックミラーから後ろの二人をちらりと見た。

「もし急いでいるなら……先に近くのホテルにお送りしましょうか？」

藤崎雪哉：「黙れ、運転しろ」

藤崎千颯は大人しく口を閉じ、二人を乗せて比較的近い天水ヴィラへと向かった。

藤崎雪哉は工藤みやびを主寝室まで送り届けた。「先にシャワーを浴びて休んでいて、少し仕事があるから、後で戻ってくる」

「明日にはできないの？」工藤みやびは彼を離さずに抱きついたまま言った。

「処理が終わったら、明日は半日君に付き合える」藤崎雪哉は手を伸ばして彼女の柔らかい髪を撫でた。

「わかったわ」

工藤みやびは名残惜しそうに手を離し、着替えのパジャマを取って先にシャワーを浴びに行った。

藤崎雪哉は書斎に戻り、藤崎千颯に仕事の指示を続け、仕事の指示が終わると一言尋ねた。

「三浦大也の調査は、最近も何も情報がないのか？」

藤崎千颯は一方で書類を整理してカバンに入れながら、首を振った。

「まだ何もありません。あの男とも女ともつかない丸山さんはその後姿を見せていませんし、荒木雅もこの人たちと会っている様子はないので、調査のしようがありません」

「なら待つしかないな、いずれまた現れるだろう」藤崎雪哉は言った。

藤崎千颯は唇を引き締めて考え、尋ねた。

「彼女が教えてくれないのに、私たちがさらに調査を続けて、彼女が…知ったら怒るんじゃないですか？」

藤崎雪哉は署名した書類を渡しながら言った。「私は望まないが、万が一彼女が私の知らないところでトラブルに巻き込まれていて、私が何も知らないままだったら」

彼女の賢さからすれば、彼がまだ調査を続けていることを知らないはずがない。

ただ、彼女も彼に正直に打ち明けたくないのだろう。

「だって、本当に誰かと怪しい関係があるわけじゃないのに、なぜ私たちに隠すんでしょう？」藤崎千颯はつぶやいた。

実際、彼女が他の男と何か曖昧な関係でない限り、兄は他のどんな関係でも気にしないはずだ。

「それは、彼女が会っている人物の身分に問題があるということだ」藤崎雪哉は言った。

外出するときに偽の身分を使う人は、きっと並大抵の人物ではなく、しかも言えない身分を持っているのだろう。