第441章 春宵一刻は千金に値する

藤崎雪哉は声を聞いて入り口を見ると、薄い寝間着姿の少女がいた。

「まだ寝てないの?」

「あなたを待ってたの」工藤みやびは近づき、彼の腕の中に座り込み、甘えた声で言った。「抱っこして連れて行って」

藤崎雪哉は苦笑いしながら彼女を抱き上げ、書斎を出て主寝室へ戻った。

部屋に入るなり、工藤みやびは彼の首に腕を回して口づけた。

そして、悪戯っぽく笑って「新しいパジャマ着たの、見る?」

藤崎雪哉は彼女をベッドに下ろし、眉間にしわを寄せた。

「またいつもの手?」

前回もわざとあんな格好をして、誘惑してから逃げ出したのだ。

「見たくないならいいわ」

工藤みやびは半分脱いだナイトガウンを閉じた。彼を一ヶ月も冷たくしたから、わざわざ今まで着たことのない新しい寝間着を着てきたのに。

藤崎雪哉は薄い唇を上げ、ベッドに立っていた彼女を一気に腕の中に引き寄せた。