藤崎雪哉は声を聞いて入り口を見ると、薄い寝間着姿の少女がいた。
「まだ寝てないの?」
「あなたを待ってたの」工藤みやびは近づき、彼の腕の中に座り込み、甘えた声で言った。「抱っこして連れて行って」
藤崎雪哉は苦笑いしながら彼女を抱き上げ、書斎を出て主寝室へ戻った。
部屋に入るなり、工藤みやびは彼の首に腕を回して口づけた。
そして、悪戯っぽく笑って「新しいパジャマ着たの、見る?」
藤崎雪哉は彼女をベッドに下ろし、眉間にしわを寄せた。
「またいつもの手?」
前回もわざとあんな格好をして、誘惑してから逃げ出したのだ。
「見たくないならいいわ」
工藤みやびは半分脱いだナイトガウンを閉じた。彼を一ヶ月も冷たくしたから、わざわざ今まで着たことのない新しい寝間着を着てきたのに。
藤崎雪哉は薄い唇を上げ、ベッドに立っていた彼女を一気に腕の中に引き寄せた。