藤崎雪哉は身をかわして飛んできた枕を避け、薄い唇に楽しげな笑みを浮かべた。
そして、立ち上がってベッドの側に歩み寄り言った。
「起きて何か食べよう。送っていくから」
工藤みやびはベッドの脇にあったナイトガウンを羽織り、痛む腰を抑えながらベッドから降り、洗面所へ向かって服を着替えた。
浴室に入るとすぐに、昨夜の恥ずかしい光景が脳裏によみがえり、直視できずに目を閉じたまま急いで歯を磨いた。
藤崎雪哉は彼女の後ろに立ち、鏡に映る彼女の姿を見て思わず笑い声を漏らした。
彼を誘惑するときは大胆なのに、終わった後は恥ずかしがって後悔する。
工藤みやびは歯磨きを終え、目を開けて鏡越しに後ろに立って笑っている彼を見て、振り向いて睨みつけた。
「何笑ってるの?」
藤崎雪哉は楽しげに口元を上げた。「彼女があまりにも可愛いから」