日本の家族団らんの大晦日に、工藤みやびはイタリアのミラノでMGの最後のビデオ広告を撮影していた。
大晦日の夜、翌日のフォトシュートのためにベネチアへと飛んだ。
ちょうどベネチアカーニバルの時期だったため、昼間は人が多すぎて撮影に影響があった。
本来なら2時間で終わる予定だったが、絶えず人に邪魔されたため、約4時間かかってようやく撮影が終了した。
撮影が終わり、みんながホテルに戻って少し休んだ後、マーティンとMGのスタッフから招待され、一緒にベネチアカーニバルのお祝いイベントに参加することになった。
さらに、現地特有の色鮮やかな衣装と華麗で精巧なベネチアンマスクも届けられた。
帰国して新年を迎えることができなかった石橋林人と助手の岡崎も非常に興奮し、すぐに衣装に着替え、様々な美しいマスクをつけてカーニバルに出かける準備をした。
工藤みやびは水色のビンテージドレスに身を包み、金色のマスクをつけた。
そして、彼らと一緒に出かけ、水の都ベネチアのゴンドラに乗り、カーニバルの群衆と共に水の都の縦横に走る運河を巡った。
ベネチア全体がカーニバル一色に染まり、行き交う人々は皆、鮮やかな色彩の古典的な衣装を身にまとい、派手なマスクをつけていたため、誰が誰だか見分けがつかなかった。
助手の岡崎は道中、目を見張るような光景に圧倒され、時折奇抜なマスクをつけた人を指さして、みんなに見るよう促した。
一行はサンマルコ広場に移動し、そこでは統一された衣装を着て、マスクをつけた楽団が演奏していた。
広場では、華やかな衣装を着て、ベネチアンマスクをつけた無数の人々が楽しそうに踊っていた。
「さあ、私たちも祭りを楽しもう」
マーティン・グリーンが彼らに言うと、自ら群衆の中に入り、音楽に合わせて踊り始めた。
工藤みやびも助手に引っ張られて輪の中に入り、すぐに周りの祝祭の雰囲気に感化され、一緒に踊り歌った。
一行はカーニバルの群衆と共に、ベネチアの半分近くを巡り、日が暮れてようやく疲れ果てた彼らをホテルまで運んでくれるゴンドラを見つけた。
ホテルは水辺に建っており、岸に上がって数歩歩けばロビーに着いた。
エレベーターの中で一行はお互いにおやすみを言い、それぞれ自分の部屋に戻った。