亜蘭国、工藤邸。
工藤みやびは毎日大量の時間を休息に費やし、目覚めている時は心理医と工藤司からの様々な心理暗示を受け入れ、自分が荒木雅ではなく工藤みやびであると信じ込まされていた。
彼女の様子に、工藤司はとても満足していた。
さらに、工藤家では彼女の自由を制限することもなくなった。
ただ、堀夏縁は工藤司が彼女の世話に費やす時間がますます増えていくのを見て、日に日に表情が険しくなっていった。
工藤司は彼女を庭園に連れ出してアフタヌーンティーを楽しんだ。彼女が以前好きだったダージリンティーと、彼女が好んでいた種類のケーキが全て用意されていた。
しかし、二人が席に着いたばかりのところに、誰かが小声で報告しに来た。
「工藤さん、本間夢を追跡していた者が二人死亡し、彼女を捕まえることができませんでした。」