工藤司に疑われないように、その夜に救出計画を立てた後。
藤崎雪哉は風蘭国に戻り続け、一方では逃亡中のテロリストを追跡し続けるふりをしながら、もう一方では密かに人を手配して本間壮佑が亜蘭国に入り人を救出するのを手伝っていた。
藤崎千颯は朝早くから出勤の準備をし、彼の部屋で寝ていた福くんも一緒に起きた。
小さな子はとても自立していて、起きるとすぐに自分のバッグを開け、自分の子供用歯ブラシと歯磨き粉を取り出し、彼と一緒に歯を磨き顔を洗った。
藤崎千颯は歯ブラシをくわえながら、椅子の上に立って自分で顔を洗い歯を磨く福くんを驚きの目で見つめ、歯磨き粉を吐き出して尋ねた。
「お父さんもお母さんもいないけど、怖くないの?」
福くんは顔を拭き、丸くて大きな目をパチパチさせた。
「どうして怖いの?」