藤崎千明はそれを聞くと、池田輝の肩を強く叩いた。
「千日の兵を養うは一日の用のため、さすが兄貴がお前をこんなに長く養ってきただけのことはある、ようやく役に立つときが来たな。」
池田輝も安堵して、藤崎雪哉に言った。
「当時、実験室に出入りできた人間はほとんどいなかった、おそらく調査すれば分かるはずです。」
「俺が行く、岡崎謙に伝えて、彼と三浦大也にすぐに調査させよう。」
藤崎千明は兄に言われるまでもなく、すぐに岡崎謙に電話をかけた。
兄の最愛の人、荒木雅が死んだわけではないと知り、彼は感動のあまり泣きそうになった。
藤崎雪哉は池田輝を見て、心から言った。
「ありがとう。」
このニュースは、彼を絶望の泥沼から一気に引き上げてくれた。
もし彼が気づかず、もう一度検査をしてこの結果を得ていなかったら。