第476章 死んだ人は、荒木雅ではない

風蘭国で、藤崎雪哉はすでに三日以上滞在していた。

池田輝が彼らに提出した検査結果は、やはりあの死体が彼らの探していた荒木雅だと示していた。

藤崎千明は兄が池田輝からの報告書を受け取った後、まるで一瞬にして魂の半分を抜かれたかのようになったのを見た。

三日間、兄は一分も目を閉じず、風蘭国の国家安全部の人々と協力してテロリストグループの行方を追っていた。

逃走中の七人のうち、すでに四人が追跡され現場で射殺されていた。

池田輝と藤崎千明は心配で、まるで二本の尻尾のように彼について回っていた。

「逃げているのはあと三人だけだ。もしこの三人を捕まえて殺したら、兄さんはその後どうするつもりなんだ？」池田輝は小声で尋ねた。

彼がその報告書を持ってきて以来、逃走者の追跡を命じる以外、ほとんど言葉を発していなかった。

今は、ホテルにテロを仕掛けた者たちへの憎しみだけが彼を支えていた。それらの人々を全員捕まえて殺した後、

彼は何を支えにして生きていくのか、池田輝はそれを心配していた。

「俺に聞くなよ、俺がどうして知ってるんだ？」藤崎千明は小声で言った。

兄はまるでロボットのように休まず眠らずに逃走者たちを追跡させていた。彼は兄に何かあるのではないかと心配で、自分も目を閉じる勇気がなかった。

今では、兄を一撃で気絶させて眠らせてやりたいとさえ思っていた。

池田輝：「俺が先に国に帰って、精神科の恩師に兄さんの状況について相談してみようか？」

一度全員が捕まったら、藤崎雪哉はいずれ荒木雅のことを受け入れなければならない。

その時、精神的なケアがなければ、本当に彼が何か考えてしまうのではないかと心配だった。

藤崎千明は少し考えて、「いいよ、じゃあ帰ってくれ」と言った。

池田輝はこの時点で藤崎雪哉に別れを告げることなく、自分で研究室に戻り、荷物を取って国に帰る準備をした。

持ってきた機器を片付けていると、突然その中の一つが手触りが少し違うことに気づいた。

彼は一つ一つ比較してみて、ふと思いついて外に出て、慶應義塾大学病院に急いで再びサンプルを採取しに行った。

そして、研究室に戻ってDNA比較を再度行った。

研究室で三時間籠もり、結果が出た後、彼は喜びと驚きでいっぱいになった。

「間違いだ、なんと間違いだったんだ！」