作家の千葉秀豊と脚本の修正方向を決め、藤崎千明と撮影チームの準備作業について相談した。
天水ヴィラに戻ったときには、すでに夜の9時を過ぎていた。
しかも、翌朝早くには風蘭国の映画祭に参加するために飛び立たなければならない。
彼女が荷物をまとめている間、藤崎雪哉はそばで黙って見ていたが、その表情はすでにかなり不機嫌だった。
工藤みやびは荷物をまとめ終えると、近づいていたずらっぽく尋ねた。
「荒木雅の彼氏、藤崎雪哉さん、不機嫌なの?」
「家をホテル代わりにする彼女がいて、嬉しいはずがないだろう?」
藤崎雪哉は彼女を引き寄せて膝の上に座らせ、深くため息をついた。
工藤みやびは干笑いした。確かに最近は1ヶ月に一度ほど帰ってきては、数日滞在してまた出かけてしまう。
どうやら、あまり良い彼女とは言えないようだ。