二人とも仕事をする必要がなく、生活は快適でのんびりしていた。
朝食を済ませた後、藤崎雪哉は藤崎千颯が送り返してきた数枚の書類を処理した。
午後、彼女はクッキーを焼き、ついでに藤崎千颯のために小さなケーキを作って冷蔵庫に入れておいた。
そして、二人で家でアフタヌーンティーを楽しみながら、彼女が主演した映画『追跡の眼』を観た。
ただ、藤崎雪哉は彼女が演じる松下詩がチャイナドレスを着てパーティーで、わざと軍人を誘惑するシーンを見たとき、顔が一気に険しくなった。
チャイナドレスは彼女の曲線美を見事に強調し、スリットの入ったドレスは歩くたびに細長い脚が見え隠れし、古き上海の音楽と相まって、非常に魅惑的だった。
工藤みやびは彼の暗い表情をちらりと見て、「キスシーンもベッドシーンもないじゃない、ただダンスを踊っただけよ、何が不満なの?」
藤崎雪哉は横を向いて彼女を見つめ、「誰とキスシーンやベッドシーンを撮りたいんだ?」
工藤みやびは近づき、妖艶に微笑んで、「あなたとキスシーンをしてみる?」
藤崎雪哉は手を伸ばして彼女の顎を軽く持ち上げ、頭を下げてキスをした。
最初は優しく慈しむような軽いキスだったが、次第に深く絡み合うようになった。
彼女は腕を伸ばして彼の首に巻きつけ、非常に情熱的に彼のキスに応え、唇と舌の戯れを楽しんだ。
徐々に、二人の息遣いは熱くなった。
藤崎雪哉は彼女の額に自分の額をつけ、低い声で尋ねた。
「ベッドシーンはどうだ?」
工藤みやびは笑い、彼の首に腕を回し、彼に寝室へ連れて行かれるままにした。
久しぶりの絡み合いに、二人とも特に夢中になった。
午後いっぱい、主寝室には絡み合う甘い吐息が漂っていた。
夕方になり、藤崎雪哉はベッドから起き上がって服を着て電話に出た。工藤みやびは自分でバスルームに入ってシャワーを浴びた。
その後、階下に降りて二人の夕食を準備した。
藤崎雪哉は電話を終えると、キッチンに降りて彼女の手伝いをした。
ふと、去年のしらゆりマンションでの、二人が初めて一緒に料理をした光景を思い出した。
一年という時間はそれほど長くないが、彼にはまるで彼らがとても長い間一緒にいるような感覚があった。
彼は彼女の後ろに立ち、腕を伸ばして彼女を抱きしめ、感慨深げにため息をついた。
「……雅。」