第507章 あなたも私を奥さんと呼んでよ

藤崎雪哉はまず居間に座っている藤崎千明を見て、彼の目に隠しきれない幸災楽禍の色を見つけた。

「お前が連れてきたのか?」

藤崎千明は無実そうな顔で首を振り、キッチンの方にいる藤崎奥様を指さした。

「お母さんが連れてきたんだよ」

やはり、可愛さこそ最強だ。

福くんが一度出てくれば、彼の兄も脇に追いやられる。

うん、これからは頻繁に福くんを借りて兄を対処しなければ。

藤崎奥様は使用人に指示を終え、こちらに来て言った。

「スープを煮込んでもらったから、夜には飲むように」

藤崎千明はにやりと笑った。「兄さん、滋養強壮のやつだから、たくさん飲んでね」

藤崎雪哉は冷たく一瞥して言った。「そんなに暇なら、会社に戻るか?」

「暇じゃないよ、最近は映画の準備で、一時的に帝都にいるだけだ」藤崎千明は弁解した。