日本、帝都。
早朝、まだ夢の中にいた工藤みやびは絡みつくようなキスで目を覚まし、藤崎雪哉の胸に身を寄せた。
「会社に行くの?」
眠たげな声は慵懶で色っぽく、出勤の準備をしていた男の心を揺さぶった。
「もう少し時間がある」
薄い布団の中で、片手で彼女を抱きしめながら、もう片方の手は慣れた様子で彼女の敏感な部分を愛撫した。
工藤みやびは男の意図に気づき、腹立たしげに彼の手を掴んだ。
「仕事じゃないの?」
「急がなくても、まだ時間はある」藤崎雪哉は軽く笑い、頭を下げてキスをした。
言外の意味は、出勤前にまだ少し時間があるから別のことができるということだ。
工藤みやびはキスされるうちに次第に力が抜け、昨夜終わった後に服を着ずに裸のままでいた体は、男の思うがままにされるのをより容易にした。
ちょうど情熱的に絡み合っているとき、藤崎雪哉の携帯が鳴り始めた。
彼女は少し息を切らしながら注意した。「……電話よ」
藤崎雪哉の汗ばんだ端正な顔には、熱烈な愛情が満ちていた。
「集中して」
そう言いながら、求める動きはさらに激しくなった。
電話はまだ鳴り続けていたが、工藤みやびはすでに極上の悦びに迷い込み、気にする余裕もなかった。
男の朝の欲望がようやく満たされると、彼女は全身が紅潮し、汗でびっしょりになってベッドに横たわり、動くのも面倒だった。
昨夜も深夜まで愛し合い、朝起きてもまだ彼女を放さない。
休暇は何もかも良いけれど、腰が持たない。
藤崎雪哉は起き上がってシャワーを浴び、出てきて服を着替えた。ダークカラーのビジネススーツに身を包み、ネクタイとカフスボタンも完璧に整えていた。
一目見ただけで禁欲的な色気があり、先ほどベッドにいた姿とは全く別人のようだった。
「今日は出かけるの?」藤崎雪哉は腕時計をはめながら、ベッドの彼女を見た。
「今日は本間壮佑の手術があるから、病院に行くわ」工藤みやびは目を細めて答えた。
夜もろくに眠れず、朝からまた彼に搾り取られて、早く仕事に行った方がいい。毎日家にいるのは大変だ。
藤崎雪哉はうなずいた。「僕は少し遅くなるかもしれない。夕食は待たなくていい」
家で数日休んだ後、会社に行けば処理すべき仕事が山積みになっているだろう。
「わかった」