海産物輸送のトラックは、彼女たちとバイクを乗せて市内中心部から離れていった。
本間夢は道中ずっとタバコが吸いたくて仕方なく、吸えないのでタバコを持って嗅ぎ続けて気を紛らわせていた。
「私たちはどう進むつもりなの?」工藤みやびは心配そうに尋ねた。
二人はずっとトラックの中にいて、外の状況がまったくわからなかった。
「師匠が人を連れて工藤家の人々の追跡の注意をそらしてくれる。私たちはまず海辺の小さな港に行って船に乗り、彼らはすぐに後から来る。」
工藤みやびはうなずいた。なるほど、こんなに長く移動しているのに、まだ何のトラブルにも遭遇していないわけだ。
思うに工藤家の人々の追跡の重点は、まだバイクに置かれているのだろう。
本間壮佑も人を連れて、彼女と本間夢に扮して市内で彼らを引き回している。
「それよりも、帰ったら藤崎雪哉に私たちの関係をどう説明するか考えておいた方がいいわよ。」本間夢は注意を促した。
今は彼女が危険な状況にあるため、藤崎雪哉の注意はすべて彼女の安全を心配することに向けられている。
だから、彼女と彼らが知り合いだという関係の怪しい点に気づいていない。
彼女が帰れば、彼はいずれ気づくだろう。その時に尋ねられても矛盾が生じないようにしなければ。
もし彼女が藤崎雪哉に自分が工藤姓だと知られたくないなら、この件はうまく説明しなければならない。
工藤みやびは唇を噛んで、尋ねた。
「あなたたちは彼にどう説明したの?」
本間夢はタバコを持ちながら、嗅ぎながら言った。
「私たちは日本に逃げてきたけど、亜蘭国にはずっと信頼できる情報源がいて、時々連絡を取り合って工藤家の状況を教えてもらっていた。最近、工藤司が何か変なことを準備しているという情報を受け取って、あなたのところで何かあったとき、関係があるかもしれないと思って、こっそり戻ってきたの。」
「それから私が発見されて、彼らに追われて師匠との連絡が二日間取れなくなった。師匠は藤崎雪哉を探して一緒に救出に来た。師匠は藤崎雪哉に私たちがあなたのお祖父さんと知り合いだと言ったけど、もし藤崎雪哉が疑いを持って他のことを聞いてきたら、あなた自身でどう彼に言うか考えておかないと。」
工藤みやびは彼女の話を聞き終わると、しばらく黙ってから尋ねた。