工藤みやびは首を振り、福くんを抱き上げて言った。
「人は大丈夫だけど、車が壊れてしまったわ」
「人が無事なら良かった」藤崎奥様はほっとして息をつき、ぶつかり合った二台の車を見た。「駐車場に入ってからでも、どうして衝突したの?」
石橋林人は状況を見て、前に出て言った。
「私たちは車を停めたばかりで、降りようとしていたら、後ろの車が突っ込んできたんです」
未来の義母からの痛烈な一撃、さぞかし痛快だろう。
藤崎奥様はそれを聞くと、不機嫌な表情で目の前の状況にまだ驚いて我に返っていない丸山みやこ母娘を一瞥した。
石橋林人は藤崎奥様が不機嫌になったのを見て、楽しげに火に油を注ぐように言った。
「みやびがドアを開けた時に反応が早くて良かったです。そうでなければ、あの衝突でドアに足を挟まれていたでしょう」