工藤みやびは少し驚いたが、すぐに反応して微笑んだ。
「もちろん興味があります。」
彼女はさっきまで、このように慌ただしく会っただけで残念に思っていたが、マーティンが降りてきて彼らがここで夕食を取れると告げるとは思わなかった。
そして次の瞬間、カーマン・ドランスが彼女の前に現れ、自ら彼の家を案内したいと申し出た。
カーマン・ドランスは先導し、気さくにこの古城の歴史について彼女に語った。世間で噂されるような、傲慢で深遠なドランス家の当主とは全く違っていた。
工藤みやびは礼儀正しい距離を保ちながら、彼と共に歩き、彼の話に微笑みながら耳を傾けた。
これは彼女が二十数年の人生で初めて、この実の父親にこれほど近づいた時だった。おそらく...最後の機会でもあるだろう。
過去を手放すと決めたからには、工藤みやびに関するすべてを手放すべきだった。