一行は子供コーナーを見終わると、藤崎奥様は彼女を連れて2階に服を買いに行った。
自分のために買うだけでなく、彼女にも何着か無理やり買ってくれた。
「あなたがこういうものに困っていないのはわかっているけど、雪哉があなたにくれるのは彼からのもの、私が買うのは私からのものよ」
工藤みやびはそれを聞いて、気まずそうに笑った。
「おばさま、あれは彼が買いたいと言ったもので、私が欲しいと言ったわけではないんです。説得しようとしたんですが...」
まずい、彼女は自分が浪費家で、藤崎雪哉に多くのものを買わせていると思われるかもしれない。
でも本当に彼女が欲しがったわけではなく、すべて彼自身が止まらないほど散財しただけなのだ。
「いいのよ、何を緊張しているの」藤崎奥様は彼女が慌てて説明する様子を見て、笑いながら言った。「男が稼いだお金は、女性のために使うためにあるのよ。あなたのために使わなかったら、何のために取っておくの?」
「...」
工藤みやびは買い物を続ける藤崎奥様を見て、そして後ろで大小の袋を持っている執事と藤崎正男を見た。
彼女自身が浪費家なので、息子が浪費家でも気にならないようだ。
二人は丸山みやこから3回目の電話がかかってくるまで買い物を続け、ようやく藤崎奥様は買い物をやめた。
福くんが既に彼女の肩で眠っているのを見て、急いで言った。
「あなたたちは先に下に行って車に戻っていて。私はちょっと人に会ってすぐに下りるわ」
「はい」工藤みやびはうなずいた。
「今日は皆で実家で食事よ。雪哉も呼んでね」
藤崎奥様は言い終えると、エレベーターに乗って丸山みやこに会いに上の階へ向かった。
丸山みやこは1時間以上待って、ようやく藤崎奥様がゆっくりと現れると、顔に浮かんでいた苛立ちを隠して立ち上がり迎えに行った。
「おばさま、やっと来てくださいましたね」
藤崎奥様は微笑みながら座り、「何か用事があるなら言ってちょうだい。急いで帰らなきゃならないの」
丸山みやこは本来なら何か飲み物を出して、ゆっくり話すつもりだったが、藤崎奥様がいきなり本題に入ったので驚いた。