「そうだね、すごく高度な技術に聞こえるよ」藤崎千颯はお菓子を食べながら言った。
工藤みやびは眉をわずかに寄せた。あの装置があれば、彼らの調査が進展することを願うばかりだ。
藤崎雪哉は彼女の心配を察して、率直に言った。
「嘘発見器は確かに役立つけど、検査官が核心的な質問ができるかどうか、それに検査を受ける人の心理状態にもよるんだ」
「あまり大きな効果はないかもしれないけど、堀家が本当に何か隠しているなら、必ず足がつくはずだ」
……
「そう願うわ」工藤みやびはため息をついた。
藤崎千颯は食べ終わると、大量の書類を抱えて言った。
「兄さん、家族団らんが終わったなら、仕事に戻れる?」
「一時間後に重要な会議があるから、そろそろ出発しないと」
……
この有能な弟がいなければ、彼が彼女を迎えに行くなんて、絶対に許されなかっただろう。
藤崎雪哉はその大量の書類に目を通し、工藤みやびに言った。
「先に休んでいて、仕事を片付けたらすぐに戻るよ」と藤崎雪哉は言った。
工藤みやびはうなずいた。「行ってらっしゃい」
オーストラリアまで彼女を迎えに行くために、彼はすでにかなりの仕事を後回しにしていた。
藤崎雪哉は服を着替えると、藤崎千颯とその大量の書類を持って急いで出て行った。
工藤みやびは一人で部屋に戻り、持ち帰った荷物を片付けた後、カーペットの上に座ったが、少しも眠気はなかった。
脚本を探して、絵コンテの構想を続けようと思っていたところ、本間夢から国際電話がかかってきた。
「もしもし、どうして私たちの師匠を引き止められなかったの?」
「私が帰ってきたときには、彼はもう行ってしまったわ。引き止められるわけないでしょ」工藤みやびは鼻を鳴らした。
彼女が一人でアンダーソン家に戻ったとき、本間壮佑が心配するのは当然だった。怪我が治るとすぐに彼女を探しに行ったに違いない。
しかも、今アレックス・アンダーソンが猛烈に彼女を口説いているから、彼が行かなければ、恋人を奪われてしまうかもしれない。
「あなた…」本間夢はため息をついて、尋ねた。「工藤司があの厚かましい男がまたあなたを探しに来たの?」
「うん、北方領土の人里離れた地域まで私についてきたわ」工藤みやびは答えた。
本間夢は心配そうに尋ねた。「彼はあなたに何もしなかった?」