工藤みやびは黙っていた。問題は彼女が工藤姓であることではなく、彼女と工藤司の過去の関係だった。
藤崎雪哉は彼女が他の男性と少しでも親しくなることさえ受け入れられなかった。
ましてや、彼女が彼の敵である工藤司と以前付き合っていたとなれば。
彼女が工藤姓であることは、藤崎雪哉は受け入れられても、藤崎家の他の人々は決して受け入れないだろう。
「あなたはね、当事者だから見えないのよ」と本間夢は言った。
最初は彼女も藤崎雪哉が本当に彼女を好きだとは信じていなかったが、今では信じている。
しかし、彼女はまだこの関係を完全には信じられないでいた。
彼女から見れば、彼女が工藤姓であることは藤崎雪哉の目には問題ではない。
難しいのは、藤崎雪哉以外の藤崎家の人々だった…
でも、この事実はいずれ明らかになるのなら、彼女から先に藤崎雪哉に告げた方がいい。