第556章 カーマン・ドランスとの初対面

工藤みやびは少し考えて、アイマスクをつけながら言った。

「きっと、彼のお見合い相手はとても美人なんでしょうね。」

藤崎千明という人は、女の子が十分に美しければ、お見合いにも喜んで行くタイプだ。

石橋林人はうなずいた。おそらくその通りだろう、さもなければ彼はあんなに念入りに身だしなみを整えたりしないはずだ。

一行がイタリアのローマに到着したのは、すでに夜だった。

マーティン・グリーンが自ら空港まで迎えに来て、彼女を見ると興奮して抱きしめようとしたが、彼女のボーイフレンドである藤崎雪哉のことを思い出し、我慢せざるを得なかった。

そのため、ただ簡単に握手をするだけだった。

「無事で良かった。」

以前、映画祭で事件が起きたと知った時、彼も彼女と連絡が取れなくなっていた。

彼女のマネージャーは行方不明になったとだけ伝え、何日も経ってから、やっと彼女が無事に日本に戻ったという知らせを受けた。

「ありがとう。」工藤みやびは笑いながらお詫びを言い、彼と一緒に車に乗った。

対外的には、当時は混乱していて、彼女は身を隠していて連絡する余裕がなかったと発表されていた。

だから、マーティン・グリーンは、彼女が行方不明になったのは工藤司に工藤家に連れて行かれたからだということを知らなかった。

「とても重要なパーティーがあるんだ。ホテルに戻って服を着替えて、今から一緒に参加してほしい。」

「でも私、お酒は飲めないわ。」工藤みやびは言った。

あの時、彼女が酔っぱらって藤崎雪哉と別れ話をしてから、彼は彼女がお酒に触れることを厳しく禁じていた。

「顔を出すだけでいいんだ。お酒を飲む必要はない。明日の広告撮影場所は彼の私有地を借りることになっているからね。」マーティン・グリーンは懇願するような表情で言った。

工藤みやびは少し考えてから、うなずいて同意した。

「わかったわ。」

一行はホテルに戻り、マーティンはすでにスタイリストを手配して待たせており、彼女のために軽やかなドレスを用意し、簡単にメイクをしてから彼女を車に乗せた。

大勢で行くのは不便なため、彼女は三浦星安だけを護衛として連れて行くことにした。