第607章 確実にゴシップ記事のトップになる

案の定、彼女が部屋に戻ると、ドアを開けるなり、ソファに座って黒い顔で彼女を待っている人を見た。

工藤みやびは笑顔を作って、「いつ来たの？」と尋ねた。

「2時間前だ」と藤崎雪哉は言った。

彼女がまだ仕事中だったので知らせなかったし、彼女が言うとおりに早く帰って休んでいるかどうか確かめたかったのだ。

「どうして私を呼ばなかったの？夕食は食べた？」

工藤みやびは彼がここに来たのは、この2日間彼女が言うことを聞かなかったからだと分かっていたので、話題をそらした。

藤崎雪哉は彼女が十分に休んでいないせいで、目の下にはっきりとクマができているのを見て、眉をさらに深く寄せた。

「この2日間しっかり休んだと言ったのに、目の下のクマは何だ？」

工藤みやびは心虚ろに笑って、「あなたも知ってるでしょ、私は監督もしながら主演もしてるから、やることがたくさんあるの。最近はいくつかの部分を調整しなきゃいけなくて、たまには夜更かしするのも避けられないわ」

「それでも体を大事にしないのはよくない。出発する前に病気になったばかりなのに、もう忘れたのか？」藤崎雪哉は冷たい表情で、かなり怒っているようだった。

工藤みやびは困った顔で彼の隣に座り、「あなたが仕事をしているとき、私はいつも邪魔しないのに、あなたは私の仕事に干渉するなんて、不公平よ」

「つまり、私が間違っているということか？」藤崎雪哉は眉を上げ、表情はますます冷たくなった。

工藤みやびは数秒黙った後、すぐに頭を下げて言った。

「あなたは間違ってないわ、私が悪かった、ボス」

藤崎雪哉は彼女が積極的に謝る態度を見て、表情も少し和らいだ。

「映画は一日二日で撮り終わるものじゃない、何を急いでいるんだ？」

「早くあなたに会いに帰りたいからよ」工藤みやびは苦い顔をして言った。

彼女は早く帰って妊娠したいのだ、急がないわけがない。

藤崎雪哉は彼女のこの言葉を聞いて、目に喜びが浮かび、手を伸ばして彼女を抱き寄せて言った。

「一週間に一度、撮影現場に来よう」

「それは必要ないわ、二週間に一度で十分よ」工藤みやびは笑って言った。

一週間に一度来られたら、彼が来るたびに一日の進行が遅れてしまう。

藤崎雪哉は眉をひそめた。「結局、私に会いたいのか、会いたくないのか？」