第580章 よくも抱きしめ、キスできたものだ

工藤みやびは彼にだらりと寄りかかりながら尋ねた。

「いつ着いたの？」

「今しがた着いたところだよ」藤崎雪哉は顔を横に向け、彼女の額にキスをした。「長く待っていた？」

彼も早く来たかったが、最速で来ようとしても、飛行機は途中で10時間以上飛行しなければならなかった。

幸い、飛行機が着陸するとすぐに彼女が見つかったという知らせを受けた。

ここに駆けつけるとすぐに、彼女に会えた。

「ううん、明日になってから帰ってこられると思ってたわ」工藤みやびは笑いながら言った。

彼らの計算では、最速で捜索救助しても、彼らを見つけるのは明日になるはずだった。

彼が手配した人たちが今日彼女を見つけたことは、すでに彼らの予想をはるかに超えていた。

藤崎雪哉：「どうしてそんなに長く待たせられるだろう？」

特に、工藤司もこっそりオーストラリアに来ていることを知ってからは。

工藤みやびは顔を上げて彼を見つめ、笑いながら言った。

「あなたのことを考えながら待っていれば、実はそんなに長くないわ」

藤崎雪哉の唇の端が思わず上がり、彼女を抱く腕もさらに強く締め付けた。

彼女と連絡が取れなくなった後、工藤司がこちらに来たという知らせを受け、天知る、彼がどれほど心配しながらここに駆けつけたことか。

実際の状況から見れば、工藤司が彼女を連れ去ることはできないはずだが、それでも何か良くないことが起こるのではないかと恐れていた。

幸いなことに、今彼女は無事に戻ってきた。

二人が車の中にいたのは10分もなかったが、車はすでにホテルに停車していた。

運転手がドアを開け、「藤崎さん、ホテルに到着しました」と言った。

二人はスイートルームに戻ると、部屋にはすでにテーブルいっぱいの食事が用意されていた。

彼女は急いで手を洗って食事の準備をし、戻ってくると、藤崎雪哉はすでに彼女のためにお粥を一杯よそっていた。温かくて、ちょうど食べごろだった。

「まずはお粥を一杯食べて、それから他のものを食べなさい」

工藤みやびはテーブルの上の食べたいチキンレッグやスペアリブ、魚を見ながらも、まずは彼が差し出したお粥を受け取った。

彼女は自分で二口食べてから、彼もちょうどこちらに着いたばかりで、きっと途中で何も食べていないだろうと思い至った。