第604章 彼のお義姉さん、なぜこんなに凄いのか?

藤崎千明は最初、義姉が映画を撮りたいと思ったのは、演技に飽きて、もう挑戦がないと感じたからだと思っていた。

だから、突然自分で監督をやりたいと思いついたのだろうと。

しかし、実際に撮影が始まると、彼はほとんど膝をつきそうになるほど驚いた。

彼女は各人の役割を非常に詳細に指示し、監督をしながら自分の役も演じ、現場を秩序正しくコントロールしていた。

以前の『長風』にしても、『追跡の眼』にしても、彼女は全力を発揮していなかった。

今、自分で監督をして初めて本当に羽を伸ばし、しょっちゅう坂口飛羽と熱演し、演技力のない彼をぶるぶる震えさせた。

彼の義姉は、どうしてこんなに凄いのだろう?

彼女はまだ19歳で、20歳にもなっていないのに、なぜこんなに天才なのか?

彼と同様に、震え上がっていたのは、本田葉子を演じる新人女優の小田澄玲だった。