第612章 それから……愛してる

本間壮佑と会った後ホテルに戻ると、藤崎雪哉からの電話がちょうど時間通りにかかってきた。

工藤みやびは携帯の着信表示を見て、数秒迷ってから電話に出た。

「もしもし。」

「仕事は終わった?」藤崎雪哉が尋ねた。

工藤みやびは少し戸惑いながら答えた。

「うん、今帰ってきたところ。」

「おばあちゃんたちが食べ物を送るように手配したから、明日誰かが届けに行くよ。」藤崎雪哉が言った。

「わかった。」工藤みやびは答えた。

藤崎雪哉はしばらく沈黙した後、言った。

「もう遅いから、早く休みなさい。」

「あなたもね、おやすみ。」工藤みやびは言った。

藤崎雪哉:「おやすみ。」

「ちょっと待って。」工藤みやびは相手が電話を切る前に、もう一度声をかけた。

藤崎雪哉:「何かある?」

工藤みやびは唇を噛みながら数秒考え、小さな声で言った。