本間壮佑と会った後ホテルに戻ると、藤崎雪哉からの電話がちょうど時間通りにかかってきた。
工藤みやびは携帯の着信表示を見て、数秒迷ってから電話に出た。
「もしもし。」
「仕事は終わった?」藤崎雪哉が尋ねた。
工藤みやびは少し戸惑いながら答えた。
「うん、今帰ってきたところ。」
「おばあちゃんたちが食べ物を送るように手配したから、明日誰かが届けに行くよ。」藤崎雪哉が言った。
「わかった。」工藤みやびは答えた。
藤崎雪哉はしばらく沈黙した後、言った。
「もう遅いから、早く休みなさい。」
「あなたもね、おやすみ。」工藤みやびは言った。
藤崎雪哉:「おやすみ。」
「ちょっと待って。」工藤みやびは相手が電話を切る前に、もう一度声をかけた。
藤崎雪哉:「何かある?」
工藤みやびは唇を噛みながら数秒考え、小さな声で言った。