第611章 本間夢が出した悪知恵?

本間壮佑は彼女の様子を見て、ため息をついた。

「もう少し気概を持てないのか?もし藤崎家が本当にお前を受け入れられないなら、何のためにそこに残るんだ?虐げられるため?」

「藤崎雪哉が自ら私の鼻先を指差して出て行けと言わない限り、私はどこにも行かない」工藤みやびは断固として言った。

本間壮佑は今日の藤崎雪哉の態度を思い返し、言った。

「藤崎雪哉はやはりお前のことが好きだから、そこまで冷酷にはならないだろう。でも彼の家族となると、何とも言えないな」

工藤みやびは頷き、嘆息した。

「藤崎家と工藤家の血の恨みは、藤崎家の年長者が血縁者を失ったことから始まり、そして...藤崎奥様もかつて言っていた、藤崎家の嫁は誰でもいい、工藤家の者だけはダメだと」

やっとのことで、彼女と藤崎奥様との確執が消えたところだった。

もし彼女が工藤姓だと知ったら、それはもう姑と嫁の確執ではなく、憎しみになるだろう。

「藤崎雪哉がお前の味方でいる限り、何とかなる」と本間壮佑は言った。

藤崎雪哉が彼女を手放さない限り、藤崎家の人々が一時的に受け入れられなくても、徐々に理解してくれるはずだ。

しかし藤崎雪哉が彼女が工藤姓であることを受け入れられないなら、彼女がどんなに努力しても無駄になる。

工藤みやび:「だから、先に子供を身ごもってからにしようと思う」

たとえ彼らが知ったとしても、一時的に彼女を嫁として望まなくても、お腹の中の孫まで拒むことはないだろう。

「...」本間壮佑は額に手を当て、理解したように言った。「本間夢がお前にそんな悪知恵を授けたのか?」

「あなたも昔、同じ手に引っかかったじゃない」工藤みやびは冗談めかして笑った。

本間壮佑は考え込んで、言った。

「方法は少々悪どいけど、効果はあるかもしれないな」

藤崎家の本邸での福くんへの溺愛ぶりを見ると、彼らは確かに孫を欲しがっているようだ。

もし彼女が藤崎雪哉の子を身ごもったら、少なくとも子供のためにそこまで彼女を苦しめることはないだろう。

「うまくいくといいけど」工藤みやびはため息をついた。

結婚がスムーズに進むと思っていたが、今となってはそうはいかないことが確定的だ。

「こんな大事な問題があるのに、まだここで映画撮影に忙しくしているのか?」と本間壮佑は尋ねた。