竹内薫乃は一人でアシスタントを連れて会社に戻り、会議室に入るなりタレントマネージャーに言った。
「マネージャーを変えてほしいわ。もっと仕事ができる人に。この人はもうやる気がないみたい」
タレントマネージャーと数人の幹部は顔を見合わせて言った。
「今の急務はマネージャーを変えることじゃなくて、あなた自身がどうやって広告主や『あの青春、君と出会った』の損失を補償するかを考えることよ…」
本来なら退社時間だったが、『素顔の対話』番組はまだ終わっていなかった。
竹内薫乃がイメージキャラクターを務める各企業から電話が入り、彼女の広告を取り下げ、損害賠償を要求してきた。
タレントは一度イメージキャラクターを引き受けると、公衆の前で自分のイメージを保つ義務がある。
しかし、竹内薫乃は今やイメージどころか、わずか2、3時間でネット上で悪名を轟かせていた。
「どういう意味?私を干すつもり?」竹内薫乃は数人を見回し、信じられないという様子で尋ねた。
「私たちがあなたを干すのではなく、あなた自身が自分の将来を台無しにしたのよ」タレントマネージャーは冷たい表情で言った。
竹内薫乃はそれを聞いて、怒って問い詰めた。
「あなたたちがもっと有能なマネージャーを付けていれば、こんなミスは起きなかったはず」
タレントマネージャーは彼女がまだ自分の過ちを認めず、責任をマネージャーに押し付けようとしているのを見て、少し怒って言った。
「マネージャーがあなたたちに荒木家の財産を奪うよう指示したの?それともあなたのマネージャーがあなたのお母さんに誰かとベッドを共にするよう言ったの?自分が良心に背くことをしておいて、尻尾を巻いて生きることも知らないの?」
本来なら、彼女が大人しく自分の道を歩み、荒木雅や千秋芸能に関わらなければ、今日のような事態にはならなかったかもしれない。
それなのに彼女は取り憑かれたかのように、荒木雅と張り合おうとし、さらには自ら出向いて事を起こした。
結果はどうだ、話題作りに失敗し、逆に荒木雅と千秋芸能に連続で面目を潰された。
番組が終わったばかりだが、ネット上では既に彼女への非難の声が溢れ、今からどんな広報活動をしても挽回できない状況だ。
もう一人の会社幹部は、もはや無駄話をする気もなかった。