第679章 中山美琴が拘留される2

竹内薫乃は止めようとしたが、他の警察官に強引に引き離され、母親の中山美琴が手錠をかけられるのを見るしかなかった。

「お母さん、どうしてこんなことに、どうしてこんなことに……」

あの事件は、証拠が何も残っていないはずなのに、この人たちはどこから証拠を見つけて逮捕したのだろう。

中山美琴は竹内家成のことを思い、頭が真っ白になった。

彼女は、長年連れ添った男が、危機の時に自分を裏切るとは思ってもみなかった。

部屋のドアから顔を出し、すぐにドアを閉めた竹内おばあさまを見て、彼女は罵り始めた。

「この老婆、あなたが息子に指示したんでしょう、あなたが息子に私を裏切るよう仕向けたんでしょう。」

「私がいなければ、あなたたち親子がここに住める日々なんてなかったのに、それなのに息子に私を裏切らせるなんて。」

……

昨日、竹内おばあさまが帰ってくるとすぐに竹内家成を部屋に呼び、母子二人は秘密めいた話を長い間していた。

彼女は彩に、彼らが荒木雅に会って何を話したのか尋ねたことがあった。

きっとおばあさまは、荒木雅が恨んでいるのは自分だと思い、自分を売り渡せば、荒木雅は父娘の情を思い出して、会社を取り戻すのを諦めると考えたのだろう。

この男のために、彼女は名も無き存在として二人の子供を産み、彼が荒木家の婿として生きるのを見守ってきた。

結局……結局彼は会社のために彼女を裏切り、牢獄に送ろうとしている。

中山美琴は罵りながら、強制的に家から連れ出され、パトカーに押し込まれた。

竹内薫乃は追いかけたが、母親がパトカーに乗せられるのを見るだけで、止めることはできなかった。

しばらくして、彼女は部屋に戻り、竹内おばあさまの部屋のドアをノックして、怒りをぶつけた。

「おばあさま、お父さんにお母さんを告発するよう言ったのはあなたですか?あなたなんですか?」

竹内おばあさまは息子が間違ったことをしたとは思っておらず、竹内薫乃を一瞥して鼻を鳴らした。

「私たちはこの家のためにやったことよ。」

「この家のため?あなたたち自身のためでしょう?」竹内薫乃は怒りで顔色が青白くなった。

母は父のためにこれほど長い間我慢して、やっと正式に結婚して家に入ったのに、一緒にいたのはわずか数年で、こんな裏切りに遭うなんて。