警官が竹内おばあさまを引き離し、冷たい声で警告した。
「お年寄り、我々の職務執行を妨害しないでください。」
「私の息子は潔白よ、あなたたちは何の職務で彼を逮捕するの。」竹内おばあさまは力が強く、飛びかかって引っ掻いたり噛みついたりした。
警察官は彼女が高齢なので、強く対応できず、不意に引っ掻かれてしまった。
しばらくして、捜査令状を持って上階に行った人たちが黒い革の日記帳を持って降りてきた。
「帳簿が見つかった、容疑者を連行しろ。」
竹内家成はその日記帳を見て足がふらつき、ほとんど立っていられなくなった。
それは中山美琴がいつも持ち歩いていた日記帳だったが、この人は帳簿だと言った。
なんと中山美琴はこの数年間、彼のそばにいながら裏で手を打ち、彼が密かに行っていた多くの取引を記録していたのだ。
彼はただ会社を守りたかっただけなのに、今は中山美琴のせいで自分も逮捕されることになった。そうなると荒木雅と交わした契約は紙くず同然ではないか?
突然、恐ろしい考えが頭をよぎった。もしかして...もしかして荒木雅はわざと彼にあの契約書にサインさせたのではないか。
最終的な目的は彼と中山美琴を敵対させ、今のような結末に追い込むことだったのではないか。
そんな考えが頭をよぎったが、すぐに打ち消した。
そんなはずがない、彼女はまだ20歳にもならないのに、そんな先を見越した計画を立てられるはずがない。
竹内彩は年齢が小さく、目の前の状況に完全に怯えて泣き出した。
母親が拘留されて数日、今度は父親まで連行される。これからこの家はどうなるのだろう?
竹内薫乃はそこに座り、目の前で起きていることをすべて冷ややかに見つめ、竹内家成が連行されるのを見ても心に少しの同情も抱かなかった。
数日前、彼の告発によって母親もこうして連行され、二度と戻ってこなかったのだから。
竹内家成が連行されると、竹内おばあさまは追いかけて外に出て、パトカーのドアにしがみついて離さなかった。
しかしすぐに引き離され、パトカーが竹内家成を乗せて去っていくのを見るしかなかった。
竹内おばあさまは車が遠ざかるのを見て、崩れ落ちて声を上げて泣いた。
「家成、家成、お母さんはどうすればいいの...」
家の中で、竹内彩は完全にパニックになっていた。