第662章 荒木雅の手にある遺言書こそが本物

遺言？

竹内家成はこの二文字を聞いて、突然驚いた。

「荒木家の弁護士が出した遺言では、隆成グループは私が相続することになっていますが、あなたのような遺言があるとは知りませんでした...」

「あなたが知らないのはあなたの問題ですが、それは確かに存在します。竹内さんの手元にある遺言がどこから来たのかは、竹内さん自身がよくご存知でしょう」と弁護士は言った。

「あなたは...」竹内家成は相手に言葉を詰まらせた。

当時、荒木家の弁護士は遺言書を持っていたが、彼らは弁護士を買収して遺言を変更していた。

しかし、荒木という老人が銀行の貸金庫にもう一部保管していたとは思いもよらなかった。

「内容証明は竹内さんも受け取ったでしょう。竹内さんが自ら横領した財産を荒木さんに返還するのか、それとも私たちが法廷で荒木さんのために取り戻すのか、竹内さんがよく考えてください」弁護士はそう言って、電話を切った。

竹内家成は竹内薫乃が開封したばかりの内容証明を奪い取って一目見ると、激しく引き裂いた。

「彼女は天に逆らっている。これほど長い間、私は会社のために功績はなくとも苦労はしてきた。今になって取り戻したいと言っても、そうはいかない！」

「何を取り戻すって？」

竹内おばあさまは息子が焦っているのを見て、注意が中山美琴の件から逸れた。

竹内薫乃が言った、「荒木雅が私たちを訴えて会社とこの家を取り戻そうとしています」

「取り戻すだって？これほど長い間、彼女の父親が会社を守っていなければ、彼女は何を取り戻すというの？」藤崎お婆様はそれを聞いて、怒り心頭だった。

自分の息子は荒木家に婿入りしてから懸命に会社のために走り回ってきた。あの死にぞこないの娘は会社のためにも、この家のためにも何もしてこなかった。それなのに今になって戻ってきて会社を奪おうとするなんて、本当に彼女は天に逆らっている。

「でも、彼女が遺言書を持っているなら、裁判で私たちが勝つことはできないでしょう」と中山美琴は言った。

「当時の遺言書は確かに家成に残されていたはず...」と竹内おばあさまは言った。

中山美琴は冷ややかに笑い、無情に真実を語った。

「あの遺言書は偽物です。荒木お爺さんは最初から遺言書を作成して、財産と会社を荒木遥香と荒木雅に残していました。あなたたちには一銭も残していなかったのです」