第1章 ダメ社長のクソみたいな日常

リンフォンはビクッとした野良猫みたいに社長室の窓際にしゃがみ込んだ。カップ麺「カンシーフー醤油味」を日光にかざし、目を細めて賞味期限をチェック。「まじ…3ヶ月切れてんじゃん!」空っぽのオフィスにボソリ。「親父、会社を終末シェルターだと思ってんの?」

その時「カツカツ!」というヒール音が廊下から。リンフォンの心臓がバクバク。姉のリンシュエ来たな…。

ピタリと音が止まり、ドア枠に寄りかかる姉。赤マニキュアが凶器みたいにキラリ。「就任3時間で社員福利厚生パクるなんてセンスあるわね」冷笑い。

リンフォンの耳まで真っ赤。「これパクりじゃねぇ!現場調査だっつーの!」背中に隠そうとするカップ麺。「王おばさんが旦那の夜食に…」

「アホか」姉が遮る。「あのオジサン10年前に社交ダンスのインストラクターと駆け落ちしたの常識だろ?」バサッと書類をブン投げた。「サイン。今すぐ」。

「江城製薬破産清算案」の文字が痛いほど目立つ。「姉貴!」リンフォンがソファから飛び起き、観葉植物を蹴っ飛ばす。「じいちゃんからの三代続いた看板だぞ!」

シュエは転がってきた金のなる木をヒールで踏みつぶし。「看板?先月税務署が差し押さえたもんって30年使い込んだ圧力鍋だけよ」。香水キツめに前のめりになり「なんでアンタが相続したかわかる?親戚中で一番のバカだからよ」。

ゴォォォン!と倉庫から爆音。リンフォンがビクつく中、シュエは黒煙立ち上る方向にニヤリ。「社長業最短記録更新かもね。今すぐ損保入っとけよ、受取人私で」。

薄暗い倉庫でスマホのライトを頼りに進むリンフォン。「ここ『呪術廻戦』のロケ地かよ…」。ガサッと物音に「だ、誰だよ!?」モップを振り回す「タイボクサーだからな!近づくな!アリペイに200元あるから…!」

天井の穴から月光が差し、錆びた月餅箱発見。「98年?俺より年上じゃん」。開けると『Hulu Brothers』のレアカードと青銅の鍵。鍵には変な鳥のマーク。

「灰雀牌金庫?聞いたことねーな…」

「置きなさい!」

ビクッとして鍵を排水溝に落とす。

夕食時、チキン足を振りかざすリンフォン「破産やーめた!この鍵じいちゃんの秘宝…」

母スーワンが箸を置く音「食事中は静かに」。

「でも倉庫の金庫が…」

ドン!と急に母が湯飲みを落とす。熱い普洱茶が限定スニーカーに直撃。

「あら、手が滑っちゃった」母のまつげがヒクヒク。最後にこんな顔見たのは父が「不老不死薬」研究すると言った正月だった。

真夜中のトイレで親友にLINE「ナンバー2!マーク調べて!」

「は?トイレで変な鳥の検索依頼?」

「マジ大事なんだって!」

「マルダイブの新婚旅行中なんだけど!」

「先月の女装イベントでナンパしたオネエちゃんの件、奥さんに…」

「マジやべえ!すぐ画像送れ!」

送信後、返信待ちで汗ダク。通知音で飛び起きて確認→

「灰雀:1946横浜発の国際医療組織。53年突然解散。関係品は触るな──バイオハザードやりたきゃ別だが」

リンフォン凍り付く。窓から朝日が破産法の本を照らす中、掃除の王おばさんが封切りされた圧力鍋で供物料理盗んだ野猫を追いかけてる──