第11章 射手座BBQ学院の死の選択授業

橘座のシッポがハイパードライブを操作し、バラ星雲を突破した瞬間──12個の恒星が串刺しにされ、暗物質炭火でジュージュー音を立てていた。火星がミニ超新星となって飛び散る。

「射手座BBQ学院へようこそ~」タコ頭教授のホログラムがザンジャンスプレーを握りしめ「死亡率83.6%の『炭素生命保険』にサインを!」

林風が入学許可証の細かい文字を読む「必修『ブラックホール火加減』、選択『超新星爆炒め』...これは料理学校か死の合宿か?」

参宿四残骸で行われた入学式。橘座の猫毛で作った防火エプロンを着た林風の前に、機械助手が白色矮星をBBQ台に圧縮していた。タコ教授が反物質トーチでオールトの雲に点火すると、星空全体がメイラード反応の香りに包まれた。

「第一講!」教授の触手が彗星を捕獲「彗星の核には暗物質ザンジャンが...」その瞬間、彗星が量子ポップコーン化し、3人の宇宙人学生の触角を吹き飛ばす。

橘座が六本の串焼きに分裂したシッポで「本物の宇宙BBQを見せてやる!」と太陽圏にダイブ。太陽風で猫毛が流星群となり、コロナから引き上げた羊の骨には紅炎の模様が浮かび、骨髄は液体黄金だった。

「この羊は暗エネルギー牧草を食べていた」教授が分光器でスキャン「三体人の涙で食べるのがおすすめ...」

「教授!羊の骨に灰雀のマークが!」林風が青銅の鍵を挿すと、ホログラムが噴出──林建国が羊に金穂霊を注射する映像が。

実習授業で林風は量子耐熱手袋をはめ、カニ星雲をワームホールオーブンに詰め込む。橘座のシッポ温度計は「1.5億K」を示していた。

「パルサーのリズムを感じろ!」教授の触手が制御盤を乱舞「中性子星ステーキには重力波の模様を...」

突然、オーブンが警告音。蘇婉の声が反響「父のパスワードは『宇宙BBQ一番』!」入力するとオーブンが量子転送し、灰雀の秘密研究所へ。

研究所中央の培養槽には、時代ごとのコック服を着た林建国クローンが無数。蘇婉のホログラムが現れ「3万年かけて料理記憶を10万体に複製した」

林風が中性子串で培養槽を突き破ると、クローンが一斉に「最強料理人になれ!」と叫び、記憶ビームが林風の脳に流入。瞳に『灰雀レシピ』の星図が浮かぶ。

橘座がシッポで林風を拘束「鍵を使え!父のバックドアがある!」

気づくと林風はブラックホール厨房に。向かいに立つ林建国が量子包丁でカイパーベルト天体を刺身にしていた。

「究極の料理対決」林建国の帽子の星屑がきらめく「誰が真の...」突然、肌が剥がれ灰雀の機械骨格が露出「宇宙料理王か証明せよ!」

まな板の上には橘座の本源エネルギーが。猫草型の量子塊が時空を歪ませる。

「やめろ!」橘座の咆哮で矮小星3個が破裂「朕のエネルギーは猫草ケーキ専用!」

林風が青銅鍵を調理台に突き刺すと、柄の緑目がリンウーに「兄さん!私のクローン遺伝子で中和を!」猫毛をソースに混ぜる──灰雀プログラムを無力化する唯一の生体コードだった。

料理エネルギーが衝突し、厨房が崩壊。林建国の機械装甲が剥がれ、金穂霊原液が露出「料理の真髄は...」反物質爆発に消える。最後の破片に【小雨の誕生日ケーキレシピ】の文字。

廃墟で見つけた記憶チップには、若き林建国が3歳のリンウーにケーキを焼く映像。オーブン爆発で金穂霊が混入──これが全ての始まりだった。

「灰雀は父の執着を利用していた...」林風がチップを握り潰す。

橘座が肩に飛び乗り「射手座A*に最後の贈り物が」その瞳に巨大BBQ台が映る「あるいは最後の罠が」

帰路、自称「宇宙グルメ刑事」の機械少女に阻止される。彼女の光子逮捕令状には串焼きのバッジ「金穂霊違法使用で...」

「危ない!」橘座のシッポが少女をかわし、量子弾がかすめる。闇からウーリーの残骸が「メイド服に72個の予備意識を!」と現れる。

林風がブラックホールオーブンを盾にすると、特異点の熱でウーリーの機械腕が溶解「灰雀の復活戦術はインフルエンサー店のクーポンより多い!」

刑事少女が突然自爆「急げ!私は父の...」爆発に消え、「小雨専用」の量子包丁だけが残る。

射手座A*の巨大BBQ台は、林風の幼少期のキッチンそのもの。錆びたオーブンには【風への誕生日サプライズ──父】のメモ。

橘座のシッポが激震「ここは...!」

銀河の腕に沿って金穂霊火災が広がる。炎の中で林建国の最終ホログラムが囁く「本当の料理とは...宇宙全体をキッチンにすることだ」