「いいえ!」
返信がすぐに届いた。
「この半年間は私のものよ。他の客は接待しないで!そうしないと気分が悪くなるわ!」
「うん」
「時間を作って病院で全身検査を受けてみて。特にあの部分の検査をね。口約束だけじゃなく、検査結果も見せてもらうわ」
神崎弥香はメッセージを編集した後、考え直したら削除して再送信した。
「全身検査を受けて、結果を保管しておいて。費用は私が出すわ」
今回、神崎弥香はしばらく待ってから、相手から返信が来た。
「わかった」
彼女は返信せずに、タクシーで海浜市最大の私立病院、民安に向かった。追加料金を払って専門医の予約を取り、婦人科の全身検査を予約した。
検査を終えて結果が出るまで待っていると、夜になっていた。幸い、検査結果は全項目異常なしだった。彼女はようやく安心した。
神崎弥香は病院を出て、タクシーで別荘に帰ることにした。今夜は神崎翔が彼女に与えた最後の期限だから、弟のためにも、一時的に彼に頭を下げるしかない。
神崎弥香は車に乗り込み、携帯を開くと深井麻衣からの5、6件の不在着信があった。だから彼女はすぐに掛け直した。
「弥香、またいなくなるなんて何考えてるの?昨夜私、泥酔して個室で寝ちゃったのよ。目が覚めたらあなたがいなくなってて、バッグも忘れたよね?一体どうしたの?」
神崎弥香はホストの件を含め、一連の出来事の概要を彼女に説明した。
電話の向こうの深井麻衣は、神崎弥香の話を聞き終わると、興奮して飛び上がりそうになった。
「すごい!あなたって本当にやったわね!そうよ、そうこなくちゃ!」
「私、まだ離婚もしてないのに、いきなりホストを囲うことになるなんて!」
「あの神崎翔だって、外で好き勝手してる時、あなたのこと考えなかったのよ?そんなに考え込まなくていいのよ、楽しければそれでいいじゃない」
「この話はもういいわ。ねえ弥香、聞いた?数日後に三神家の大奥様が海浜市で宴を開くらしいわ」
神崎弥香は眉を上げた。三神家?あの帝都市一の財閥、三神家が?
「私の父が招待状を受け取ったわ。神崎家も当然受け取ってるはずよ。あなたと神崎翔、こんな状態になっても、一緒に出席するの?」
「……」
「噂になってる三神家の謎の御曹司も、当日は出席するらしいわ。きっと市内の権力者たちが集まるでしょうね…」