第15章 あなたは一体何者なの?

男は軽く言い放った一言に、神崎弥香は一瞬で顔を赤らめた。

彼女は後ろで真剣に包装している販売員を見て、顔を引き締めた。「あなた、これからは人前でこういうことを言わないでくれる?」

男は彼女をじっと見つめ、色っぽく微笑んだ。「わかった。今度は誰もいないところで言うよ」

神崎弥香は少し恍惚としていた。これは一体誰が誰を囲っているのだろうか?

男が彼女を見る目は、まるでいつでも飛びかかってきそうな飢えた狼のようで、彼女はまるで彼のまな板の上の子羊のようだった。

以前は彼があんなに礼儀正しく、近寄りがたい様子だったのに、プライベートではこんな闇の色気を持つ男だったとは。

「相手にしないわ!」神崎弥香はソファに真っ直ぐ座り、彼を見なくなった。

三神律は彼女のそんな恥ずかしさと少しの怒りが混じった様子を見て、とても可愛いと思った。

販売員が包装を終えると、買い物袋を深々と頭を下げて三神律に手渡した。三神律は手を伸ばして受け取り、他の袋も一緒に手に持った。

販売員は彼に近づき、丁寧に尋ねた。「お客様、荷物が多いですが、同僚を呼んでお車まで運ぶお手伝いをさせていただきましょうか?」

三神律は普段から見知らぬ人が近づくことを最も嫌っていた。彼は即座に眉をひそめ、淡々と言った。「結構です」

販売員は彼の嫌悪感を察し、ぎこちなく笑うしかなかった。「かしこまりました!」

彼女は店の出口まで彼らを見送り、職業的な標準的な笑顔を浮かべた。「旦那様、奥様、お気をつけてお帰りください。またのご来店をお待ちしております!」

奥様?三神律は意味ありげに口元を緩めた。

神崎弥香はその言葉を聞いて、隣の男を見た。彼はこんなにハンサムなのだから、将来十分なお金を稼いで身を引いた後も、結婚相手に困ることはないだろう。ただ、彼が結婚した後も妻に尽くす夫になって、妻とショッピングに付き合い荷物を持ってあげるのかどうかは分からない。

そう考えると、神崎弥香は突然胸が詰まる思いがした。もう買い物を続けたくなかった。

幸い、パーティーまでまだ数日あるので、三神家のお婆さまへのプレゼントを買う計画は一時保留することにした。