「弥香、やっと本気になってくれたのね。そうよ、あんな最低な男に安く済ませちゃダメよ。すぐに送るわ」
深井麻衣は神崎弥香の行動に大いに賛同していた。離婚で主導権を握るためには、夫の不倫の確かな証拠を手に入れる必要がある。私立探偵を雇えば時間と労力の節約になり、最終的に得られる成果は探偵に払う少額の費用をはるかに上回るだろう。
電話を切った後、弥香は麻衣から送られてきた相手の情報を受け取った。彼女はためらうことなく、すぐに電話をかけた。二人は電話で簡単に話し合い、その後、海浜市の少し外れた場所にあるカフェで会う約束をした。
弥香は簡単に身支度を整えると、まず銀行へ行って二千万円の現金を引き出し、その後タクシーで約束の場所に向かい、個室に入った。
弥香がドアを開けると、相手はすでに到着していた。25歳くらいに見える女性で、カジュアルな服装に耳にかかる短い髪、鋭く知的な大きな目をしていた。彼女の背後には登山用バックパックが置かれ、全体的に颯爽として魅力的な印象だった。