第169章 御曹司が撃たれた!

三神律の目には、今まさに銃を構えて彼を狙っている三神景元の姿は見えていなかった。彼の目には神崎弥香しか映っていなかった。神崎弥香のこの様子を見て、彼の目は瞬く間に凍りつき、彼から発せられる殺気が一瞬にして部屋全体の温度を数度下げた。

彼は自分の感情を抑え、神崎弥香に向かって口角を上げ、顔に明るい笑顔を浮かべた。彼の声は優しくも確信に満ちていた。「弥香、怖がらないで。僕が助けに来たよ。」

神崎弥香は彼を見て、涙でいっぱいの小さな顔を必死に振った。彼女の口からはわずかな声も出せず、ただ泣き続けるしかなかった。彼女は三神景元の目的を知っていた。彼女は三神律に近づかないよう合図した。

三神律がどうして三神景元の考えを知らないはずがあるだろうか。彼は心の中で、三神景元がすでに窮地に追い込まれていることを理解していた。三神景元は以前から彼を憎んでいた。彼がここに来たのは、おそらく生きて帰れないことを覚悟してのことだった。