三神律はようやく顔を上げた。彼は眉目を引き締め、沈んだ声で言った。「森本、先に出ていってくれ!」
森本城一は三神律の表情が少し厳しくなったのを見て、まぶたがピクピクと動き、もう余計なことは言えなかった。彼は少し恐れながら頷いて部屋を出て行った。
三神律はその紙切れを引き裂いて、傍らのゴミ箱に捨てた。彼は重々しい眼差しで窗の外を見つめ、少し皺寄せた眉間に鋭さが滲んでいた。
冬野源一は確かに彼に身を寄せたいと思っていたが、条件があった。彼はメモに明確に書いていた。彼の娘である冬野佳子が長い間三神律のことを好きだったこと、もし三神律が冬野佳子と結婚することを約束するなら、冬野源一は自分が持っている村上浩一たちの罪の証拠をすべて彼に渡すと。そして彼はこれらの証拠があれば、必ず彼らを刑務所に送り込めると保証した。もちろん、その中には冬野源一自身も含まれていた。