第283章 三神麟太と望月昇が対立した！

望月昇は望月文臣に呼ばれたのを聞いて、目の前の男性に礼儀正しく「さようなら」と言い、そして角の方へ駆け出した。走りながら笑顔で大きな声で応えた。「パパ、焦らないで、ここにいるよ！」

真実を知った三神律は、その場に立ち尽くし、表情は複雑で読み取れなかった。彼の視線は小走りに去っていく望月昇を見つめていた。なるほど、彼がこの子に親しみを感じるのは当然だった。彼女の子供だったのだ。

彼の弥香は生まれつき優しく、子供もとても良く育てていた。それだけでなく、子供はとても格好良く、目元は彼女に似ていて、特に人の心を引きつけた。ただ彼女の子供ともう少し話せなかったことが残念だった。たとえ弥香についての些細なことでも聞けたらよかったのに。

望月昇の姿が視界から消えると、彼は思わず早足で数歩進み、角に着くと、望月文臣が子供を抱きしめ、彼に背を向けて歩いているのが見えた。この時間、廊下には人があまりいなかったので、望月文臣と望月昇の会話がはっきりと聞こえた。

「昇、これからは私の視界から離れないで、それに走り回らないで。息切れするよ、わかった？」

「わかったよ、パパ」

「ちょっと出かけなきゃならないんだ。午後、主治医が来たら、ママが退院手続きをしてくれる。手続きには少し時間がかかるかもしれない。ちょうど他の親御さんから、病院が午後3時にロビーの2階で子供向けのパズル大会を開くと聞いたんだ。病室で一人で退屈なら、パズル大会に参加してみたら？昇、どう思う？」

「パパ、すごい！僕、頭を使うパズルみたいなゲーム大好きだよ」

「いいね、じゃあ後でママに言うのを忘れないでね。僕たちはいつもパズルをしているから、パパは君がいい成績を取れると信じているよ。でも取れなくても大丈夫、人には人の強みがあるからね。とにかく楽しむことが一番大事だよ」

「はい、パパ！」

その後、二人は角を曲がり、彼らが何を話しているのか、三神律には聞こえなくなった。

彼は望月文臣と望月昇の短い交流しか見ていなかったが、望月文臣が望月昇をとても大切にしていることがわかった。さらに、二人の父子の情が非常に深いことも見て取れた。

当時、医師は神崎弥香が妊娠しにくいと言っただけで、不可能とは言わなかった。彼は森本城一に調査させる必要すらなかった。疑いの余地なく、望月昇は神崎弥香と望月文臣の実子だった。