「弥香、弥香、いるの?」望月文臣は神崎弥香を呼び続け、声はだんだん切迫していった。
神崎弥香には、望月文臣の足音が急いでいることがわかった。声もだんだんはっきりしてきて、彼はすぐにここに来るところだった。
神崎弥香は今出て行くのが適切でないことを知っていたが、望月文臣は落ち着いた性格の持ち主だ。彼がこれほど切迫して彼女を探しているということは、重要な用事があるのだろう。彼女は昇のことを思い、眉をひそめた。今は何も考えられなかった。
彼女が返事をしようとした瞬間、三神律が彼女を引き寄せ、腕で彼女の腰を抱き、もう一方の手で彼女の後頭部を支えると、彼のキスが降りてきた。
彼のキスには抵抗できない優しさと、隠しきれない渇望と愛情が込められていた。
突然のキスに神崎弥香は心の準備ができておらず、彼女の瞳は大きく見開き、頭が真っ白になった。彼女が呆然としている間に、三神律はさらに彼女を強く抱きしめた。
二人の体は密着し、唇と歯が絡み合い、神崎弥香は三神律の力強い鼓動と次第に荒くなる呼吸を感じることができた。
彼女の脇に垂れた指は戸惑いながらも少し丸まった。これが間違っていることはわかっていたが、目の前にいるのは彼女が何年も朝な夕な思い続けてきた男性だった。彼女の心は三神律に傾いていた。
彼女が我を忘れてその瞬間に酔いしれようとしたとき、望月文臣の間近な足音と切迫した呼びかけが彼女を現実に引き戻した。彼女は三神律の束縛から逃れようともがいたが、三神律は彼女をさらに強く抱きしめた。
彼のキスは優しさから強引さ、支配的なものへと変わり、彼の呼吸もますます荒くなった。
神崎弥香は全力で彼を押しのけようとしたが、少しも動かすことができなかった。彼女は三神律の肩を力いっぱい叩いたが、三神律はまるで彼女と意地を張るかのように、彼女を掴んでキスし続けた。
彼女は仕方なく歯で彼の唇を噛んだ。すぐに彼女は唇の間に鉄の味を感じ、三神律はようやく彼女の唇を離した。
神崎弥香は三神律の唇が噛まれて血で赤くなっているのを見た。しかし彼はそれを気にする様子もなく、彼の視線は依然として彼女にしっかりと注がれていた。彼の目に宿る熱い感情に、彼女は立ち去ることを忘れた。