白清水長老の頬を一筋の涙が伝った。
彼の表情は変わらなかった。
しかし涙は止まらず、次々と静かに彼の顎から落ちていった。
それらは小さな川のように流れ、彼の顔から下の霧の海へと続いていった。
一滴一滴が音もなく霧の中に消えていった。
彼の瞳は徐々に白から暗灰色へと戻っていった。鋭く集中していた広い視線は柔らかくなった。
彼のいつもの眠そうな目が戻ってきた。まるで長い一日を終えたかのように。
浮剣隔絶陣がちらついた。
そして風の中のタンポポのように散っていった。海を覆っていた封印された圧力が消えた。
霧が再び動き始め、もはや固定されていなかった。
風が動いた。世界は再び息をしていた。
「…あれは…何だったんだ?」林一軍が言った。
蕭連峰はまだ前方を見つめたまま、呆然としていた。
海はたった今、一瞬穏やかだった。そして混沌。そして静寂。
そして紅骨梭魚…あの生き物は深淵魔獣のはずだった。
消えた。バラバラになって。
白清水長老はいつもこんなに強かったのか?
彼はコーラを持っていた。ライムソーダも持っていた。
しかし、どんな飲み物も弱い老人を巨大な海の怪物を粉砕する者に変えることはできないはずだ。
彼がすでに恐ろしい何かでない限り。
二人の弟子は近づき始め、ゆっくりと空中を飛んでいった。
彼らは話さなかった。
まだ晴れない圧力が空気の中にあった。
林一軍は時間をかけた。彼はゆっくりと飛び、剣は海の上高く空を滑るように進んだ。
海面には近づかなかった。
これ以上近づく計画はなかった。
彼の目は下の霧を走査し、奇妙な波紋や影を探していた。
あの紅骨梭魚は確かに死んだ。
しかし、もし部下がいたらどうだろう?
一歩弱いだけの生き物でも、都市を潰し、修行者を蒸しパンのように噛み砕くのに十分な力を持つ生き物が。
彼はすでに、そのような生き物の一つが水から飛び出し、大きな顎を開け、彼を釣り針の虫のように引きずり込む様子を想像できた。
蕭連峰は彼の数歩後ろを飛んでいた。
怖かったからではない。
彼の目は鋭く、背筋はまっすぐだったが、指は震えが止まらなかった。彼の剣の先は時々下向きに傾いた - 退却するためではなく、飛び込むために。
彼はまだ戦いの余韻に捕らわれていた。
彼の血は熱すぎた。