第156章 出口を出て左に100メートル

霧島様は彼女を見て、何度もうなずいた。「お祖父さんは最近どうですか?」

「お爺さまは元気です。霧島おじさまのご心配ありがとうございます。」

「それはよかった。君と優奈はゆっくり見て回りなさい。霧島おじさんはほかのお客様の対応があるので。」

根岸詩音は微笑んだ。「はい、わかりました。」

霧島様はまた綾瀬光秀の方を見た。「光秀、ごゆっくり。」

男性は軽くうなずいただけだったが、その一つの動作だけで、圧倒的な存在感を放っていた。

霧島様が去った後、高橋優奈の視線は根岸詩音に向けられるか、下を向いて誰も見ないかのどちらかで、決して綾瀬光秀の顔には落ちなかった。

根岸詩音は軽く咳払いをして、綾瀬光秀を見ながら言った。「綾瀬社長、私たちはもうお邪魔しません。失礼します。」

そう言って、高橋優奈の手を引いて立ち去ろうとした。