第260章 あなたはそんなに不満なの【8000】_3

2分もしないうちに、リビングで携帯の着信音が鳴った。高橋優奈のものだった。

女性は立ち上がり、綾瀬光秀に挨拶もせずに食堂を出た。

おそらく先ほどの話題で気が滅入り、気分が落ち込んでいたため、着信表示を確認せずに電話に出た。

耳に当てると、まだ何も言わないうちに、相手が先に話し始めた。「優奈——」

霧島律の声だった。

彼女は少し驚き、目も思わず大きく見開いた。前回のパーティー以来、霧島律には会っていなかった。

「どうして急に電話してきたの?」

霧島律の声には少し不満が混じっていた。「姉が昨日帰ってきて、おととい君と兄貴の結婚披露宴だったって初めて知ったんだ。うちの両親は招待状を受け取っていたのに、全然言わなかった。君に会える絶好の機会を逃したよ……」

高橋優奈は目を伏せ、なぜかこう言った。「あなたが行くのは適切じゃなかったわ」