第269章 ごめんなさい

綾瀬光秀が営業部に入ったとき、実際には何人かの社員が彼を見ていた。

しかし勤務時間中なので、見ても見なかったふりをしなければならない。

男は高橋優奈の席には行かず、部長室に入った。

山田部長は綾瀬社長が入ってくるのを見て、ようやく拭いた汗がまた噴き出し、口を開こうとしたとき、綾瀬光秀は黙れという目配せをした。

山田部長は口を閉じた。

綾瀬光秀は部長室に入り、ドアを閉めてからソファに座った。「高橋優奈を呼んでくれ。」

「は、はい。」

山田部長は出て行き、オフィスのドア前に立って優奈の方を見た。「優奈、ちょっと私の部屋に来てくれないか。」

「はい。」

今回、優奈はあっさりと答え、手元の仕事を置くとすぐに立ち上がった。

彼女が部長室のドア前に来たとき、山田部長は横に立って彼女のために道を空け、目で中に入るよう合図した。