高橋優奈は首を振った。「大丈夫よ、もう説明したから。彼はただ返事をくれるだけかもしれないわ」
根岸詩音は軽く「うん」と返事をして、メニューに集中していた。何か考えているようだった。
高橋優奈はメッセージを開き、綾瀬光秀の返信を見た途端、眉をひそめた。
【行くよ】
本当に詩音の言った通りになったわね……
彼女は思わず顔を上げて、根岸詩音を見た。
彼女はまだ料理を選んでいた。
高橋優奈は視線を戻し、数秒考えてから返信した。
【綾瀬さん、来ないでください。私と詩音は久しぶりに二人きりで食事するんです。大晦日に湾岸レジデンスで一緒に食事したけど、あの時はあなたと河合さんもいたし。今回は私たちだけの時間をください、いいですか?】
メッセージを送った後、高橋優奈は長く息を吐き、スマホを置いて根岸詩音に尋ねた。「注文は決まった?」