第411章 少し困惑して眉間を押さえる

高橋優奈はそのまま足を踏み出して自分の書斎へと向かった。

しかし……主寝室の中から男の咳き込む声が絶え間なく聞こえ、しかもどんどん悪化しているように聞こえた。

高橋優奈は自分の書斎のドアの前に立ち、この位置からは綾瀬光秀に見えないようにしていた。

彼女はずっとその場に立ち、中の男の様子を聞きながら、彼がどれだけ長く咳き込むのか見守っていた。もし本当に深刻なら……彼女も見て見ぬふりはできないだろう。

幸い、1分もしないうちに彼の咳は止まった。

高橋優奈はほっと息をつき、書斎に入った。

……

高橋優奈が書斎で顧客資料を整理していると、約1時間後、彼女の電話が鳴った。

着信表示は主寝室で横になっているあの男からだった。

綾瀬さん。

彼女は電話を握る指に力が入り、数秒間迷った後、スワイプして応答した。