第66章 表舞台に立てない

林知恵は目を見開いて目の前の男を見つめた。

彼は両手を上げて襟を掴み、前に引っ張ると、パーカーが一瞬で脱ぎ去られ、服の下に隠されていた引き締まった肉体が露わになった。

両腕を上げたため、腹筋も連動して動き、筋肉の一つ一つがはっきりと浮き出て、余分な脂肪は一切なかった。

林知恵が少し呆然としていると、突然セーターが顔面に投げつけられた。

宮本深はテーブルに斜めにもたれかかり、林知恵を意味ありげに見回して言った。「あの夜、見足りなかった?病気になりたくなければ、中に入って着替えろ」

林知恵は顔を赤らめ、セーターを掴んで小さな仕切りの中に駆け込み、カーテンを下ろした。

その後、二人とも何も言わず、空気の中には林知恵の衣服を脱ぐ音だけが響いていた。

宮本深はタバコを取り出し、目を伏せて火をつけようとした時、視線がカーテン上の影に奪われた。

林知恵はハイネックのセーターを脱いでおり、腕を上げた時に、曲線美のあるボディラインが露わになった。

ぼんやりとした影、しなやかな姿。

彼女はもともと華やかな美人で、何の努力もせずとも、蔦のように男性の細胞一つ一つに絡みつき、ちょうど良い色気で人を惹きつけるのだった。

宮本深のライターが熱くなり、彼はようやくタバコに火をつけ、一気に吸い込んだ。

薄い白い煙越しに、カーテンの後ろの人が小さな動きをするのを見ていた。

林知恵は片手で彼のセーターを掴み、襟元に向かって二回手のひらで叩いた。まるで彼を叩いているかのように。

唇を微かに動かし、ぶつぶつと文句を言っている。

彼女は今、頑固で大胆になっていた。宮本深は確信していた、彼女の罵りの言葉はすべて本心からだと。

最後に、彼女は不本意ながらセーターを着て、あちこち引っ張ってから、ようやくカーテンを開けた。

出てきた女性を見て、宮本深は目を細めた。

彼のセーターは彼女にとってはワンピースのようなもので、だぶだぶとしていたが、隠しているようで逆に人を惹きつける感じがあった。

林知恵は気まずそうに言った。「行けるよ」

「田中慎治がまだ来ていない。少し待とう」

宮本深は無造作にタバコの灰を払い、ワインセラーに歩み寄り、一本のワインを選んだ。

林知恵はラベルをちらりと見た。折木和秋が持っていたものよりもさらに高価だった。

「少し飲んで寒さを和らげよう」