林知恵が学校に戻ると、主任から原稿提出の連絡を受けた。
彼女は主任の事務室へ向かった。
他の学年の参加者たちの他に、折木和秋もいることに驚いた。
本来なら各学年から一人の参加者を選出するはずだったが、彼らの卒業を控えた学年だけは二つの枠があった。
宮本深の権力が大きいからこそだ。
林知恵が前に出ると、まだ口を開く前に主任から叱責された。
「林知恵、あなただけが原稿を提出していないわ。いつも足を引っ張らないで。折木さんは一番最初に提出したのよ」
折木和秋は謙虚に微笑んだ。
林知恵は折木和秋の手口を知っていた。彼女が反論すれば、折木和秋は芝居を始めるだろう。
彼女は折木和秋とここで人々に見世物を見せたくなかった。
林知恵は淡々と言った。「申し訳ありません。今、お見せします」