第31章 やはり盗まれた

林知恵が学校に戻ると、主任から原稿提出の連絡を受けた。

彼女は主任の事務室へ向かった。

他の学年の参加者たちの他に、折木和秋もいることに驚いた。

本来なら各学年から一人の参加者を選出するはずだったが、彼らの卒業を控えた学年だけは二つの枠があった。

宮本深の権力が大きいからこそだ。

林知恵が前に出ると、まだ口を開く前に主任から叱責された。

「林知恵、あなただけが原稿を提出していないわ。いつも足を引っ張らないで。折木さんは一番最初に提出したのよ」

折木和秋は謙虚に微笑んだ。

林知恵は折木和秋の手口を知っていた。彼女が反論すれば、折木和秋は芝居を始めるだろう。

彼女は折木和秋とここで人々に見世物を見せたくなかった。

林知恵は淡々と言った。「申し訳ありません。今、お見せします」

彼女はバッグを開け、画板を取り出したが、開いてみると中は空っぽだった!

挟んでいたはずのデザイン画がすべて消えていた!

彼女が呆然としている隙に、折木和秋は彼女の画板を奪い取り、皆の前で開いた。

人々は空白の画板を見て、奇妙な視線で林知恵を見つめた。

折木和秋は困ったふりをして言った。「知恵、デザインができなくても大丈夫よ。でも、みんなを騙す必要はないでしょう?」

他の参加者たちも不快そうに林知恵を見た。

主任は机を叩いて立ち上がった。「林知恵、あなたはあまりにもひどい!人の競争枠を奪っておきながら、こんなに怠慢とは!あなたはデザインが分かっているの?これがデザインというものよ!」

主任は怒って折木和秋のデザイン案を机の上に広げた。

林知恵は折木和秋のデザイン案に目を通した時、表情が硬くなった。

それは彼女のコンテスト作品だった!

彼女は急に頭を上げて折木和秋を見た。

折木和秋は彼女の反応に少しも驚かず、微笑んで、林知恵の分不相応さを笑っているようだった。

彼女は自分のデザイン案を手に取った。「知恵、どう思う?私はとても満足しているわ。だから特別に前もって著作権認証を申請したの。誰かの盗作を防ぐためにね」

彼女は「盗作」という言葉を強調した。実際には林知恵に、今さら騒いでも無駄だと伝えているのだ。

原稿は彼女の手にあり、著作権認証も済ませている。どれだけ言い争っても、この作品は彼女のものになったのだ。