第85章 婚約者を喜ばせる

宮本当主は執事を呼んでゴミ箱を片付けさせた。

「このゴミを遠くに捨ててくれ、気分が悪くなる。」

「かしこまりました。」

執事は宮本深の目の前で、ゴミ箱の中の「境地」と書かれた紙を細かく破り、丸めて、すべて真っ黒なゴミ袋に押し込んで書斎を出て行った。

当主は茶碗を持ち上げ、口元で息を吹きかけながら、低い声で言い聞かせた。「今回の提携は非常に重要だ。失敗は許されない。折木和秋はお前の婚約者だ。彼女のイメージはお前のイメージでもある。他人に付け入る隙を与えるな。」

「わかっています。では失礼します。」

宮本深は立ち上がり、部屋を後にした。

……

庭にて。

林知恵は帰宅するとすぐに午後いっぱい眠り、夕食後にデザイン案の作成を始めた。

そのとき、山下穂子が果物を持って入ってきた。