第119章 子供の父

林知恵は、子供は宮本深のものではないのではないかと推測した。

だからこそ彼女は山下穂子に折木和秋の周りの異性について尋ねたのだ。

残念ながら今のところ進展はない。

しかし折木和秋のあのおびえた様子を見ると、林知恵は自分の推測をますます確信するようになった。

その後の4日間、折木和秋は毎日完璧なメイクをしていたが、突然姿を消すことがあった。

林知恵はその度に、彼女が物置で痛みに耐えて低く呻いているのを目撃した。

医師の説明によると、今回の薬による中絶は失敗したようだ。

折木和秋はさらに2日間我慢し続け、頬紅でも隠せないほど顔色が悪くなってようやく口実を設けて病院へ行った。

林知恵は物を届けるという口実で、折木和秋について行った。

折木和秋は以前薬による中絶薬を処方してくれた医師を訪ねた。注目を集めないよう、今回も人が最も少ない昼間の時間帯を選んだ。

しかし診察室に入る前に電話がかかってきて、彼女はその場で固まってしまった。

「何ですって?本当に?わかりました。」

折木和秋は歯ぎしりしながら電話を切り、スマホを下ろした瞬間、急に振り返って周囲を見回した。

幸い林知恵は素早く身を隠したので、折木和秋に見つかることはなかった。

彼女は角を曲がったところでしばらく待ってからこっそり顔を出したが、折木和秋の姿はすでに見えなくなっていた。

林知恵は急いで医師の診察室のドアまで行き、まだ完全には閉まっていないドアから中を覗くと、誰もいないことがわかった。

人はどこに?

彼女は医師のデスクを見つめた。

机の上は散らかっていて、開かれたカルテの紙には乱暴に線が引かれ、置かれたペンはキャップも閉められていなかった。

医師が急いで出て行ったことを示している。

もしかして折木和秋は何かを発見したのだろうか?

そう考えると、林知恵は胸が詰まる思いがした。何か起こりそうな予感がした。

彼女は深呼吸して、比較的目立たない椅子に座り、婦人科の方向を見つめた。

時間がゆっくりと過ぎていく。

林知恵の前の数列は徐々に午後の診察を待つ人々で埋まり、彼女は群衆の中でさらに身を隠しやすくなった。

そのとき、こそこそと怪しげな姿が頭を下げて人混みを通り抜けた。

林知恵はすぐに折木和秋だと気づいた。