林知恵はぼんやりとして、ドアを閉めようとした時、宮本深はすでに入ってきていた。
ドアが閉まる音を聞いて、彼女は我に返り宮本深を遮った。
「私が泊まっているのは普通のダブルルームで、あなたが寝る場所はないわ」
「初めて一緒に寝るわけでもないだろう」
宮本深は無造作に林知恵の腕をどけて、部屋に入った。
林知恵は頬が熱くなり、自分の服がまだベッドに散らかっていることを思い出し、急いで駆け寄って布団でぐちゃぐちゃに覆い隠した。
彼女は布団の上に体重をかけ、周りを指さした。「叔父さん、見ての通り、スタンダードルームは質素だから、帰った方がいいわ。温かい巣が待っているでしょう」
「温かい巣?気が利くな」
宮本深はテレビ台に寄りかかり、両手をポケットに入れ、冷たくも熱くもない口調で言った。
林知恵は下の布団をぎゅっと握り、手を上げてドアを指さした。「叔父さん、どうぞごゆっくり」
部屋の中の空気が一瞬止まった後、次の瞬間、ベッドの端がへこみ、シューシューと摩擦音を立てた。
林知恵が顔を上げると、熱い息が顔に吹きかけられた。
男性の膝がマットレスに当たり、少し身を屈めていた。
林知恵が体を支えて逃げようとした時には、もう遅かった。両手を掴まれ、耳元に押さえつけられた。
彼の顔は目と鼻の先にあり、彼女は慎重に避けようとしたが、彼はまるで最高の狩人のように、常に彼女の動きを予測し、一歩一歩近づいてきた。
最後に、林知恵は逃げ場がなく、彼を見るしかなかった。
暖かい光のベッドサイドランプが降り注ぎ、男性の瞳は墨のように深く、少しも光が入らなかった。
彼女の手首の赤い跡を見た後、男性の手の力が少し緩んだ。
「先に君が入る…それとも俺が先に入る?」宮本深は声を抑えて言った。
「……」
林知恵は驚いて固まり、数秒後にようやく彼の意味を理解した。
慌てる中、彼女は宮本深の膝元に自分が隠し切れなかったものを見た。
山下穂子が彼女に買ってくれた薄手のシースルー、着ていても着ていないようなものだった。
確かに着ていないようなもので、それは本当に一枚の柔らかいシースルーだけだった。
宮本深は林知恵の視線に気づき、頭を下げて一瞥し、目つきが変わった。
一度目を閉じてから、彼女から手を離し体を起こした。
「俺が先に入るよ」