第164章 心理治療を受けたことがある?

折木家。

折木和秋は落ち着かない様子で居間を行ったり来たりしていた。

突然、携帯が鳴った。なんと松本香奈からのビデオ通話だった。

迷った末に、折木和秋は電話に出た。

画面上の松本香奈は全身泥だらけで、惨めな姿だった。

運転しながら、顔を携帯に近づけていた。

真っ赤な両目が何倍も大きく映り、折木和秋は怖くて後ずさりした。

「和秋、私の両親が私を海外に送ろうとしているの。三男様に頼んで、うちの家を助けてもらえるよう頼んでくれない?お願い!」

なるほど、助けを求めているのか。

折木和秋はきちんと座り、細い首を少し上げ、以前のような取り入るような態度はなかった。

「香奈、ごめんなさい。あなたの家がこうなったことについて、私にはどうすることもできないわ」

「どういう意味?昔は私があなたを宮本当主の前で良く見せてあげたのに、今になって恩を仇で返すつもり?それに今回も、私が林知恵を誘拐したのはあなたのせいよ!」

松本香奈は叫び、震える声で言った。

今や松本家は没落し、折木和秋は火の粉が自分に降りかかることを恐れ、もう演技する気もなかった。

彼女は軽蔑した様子で言った。「松本香奈、でたらめを言わないで。私がいつ林知恵を誘拐しろと言ったの?証拠のないことを言わないでよ」

「あなた!」松本香奈は目を見開き、歯ぎしりしながら言った。「だから動画は本当だったのね、あなたと木村大賀は...」

折木和秋はだらしなくクッションに寄りかかり、くすりと笑った。「そうよ、私たちはずっと前から付き合ってたの。大賀はあなたのことを本当にうるさいって言ってたわ。私に会えるからってだけで、あなたがいる場所に来てただけなのよ」

「この淫売!あなたたち不倫カップル!三男様に言いつけてやる!」松本香奈は怒りで叫んだ。

「どうぞ言いに行けば?あなたはもう昔の令嬢じゃないでしょ?今はみんなから嫌われる落ちぶれた犬よ。誰があなたの言うことを信じるの?あなたが馬鹿なだけ!」

この三つの言葉は、折木和秋がずっと言いたかったものだった。

松本香奈は力いっぱいハンドルを叩き、鋭く呪いの言葉を吐いた。「折木和秋!あなたに幸せな人生なんてないわ!絶対に許さない...あっ!」

悲鳴とともに、松本香奈は車ごと回転し始め、最後にドンという音とともに、車は何かにぶつかったようだった。